★チベット密教と中国気功法との共通点は人と大自然との一体化 

●中央アジアで千数百年の歴史を持つチベット密教---ヒマラヤ山地の高度4000メートル級という厳しい自然環境の中で生まれ育ってきたチベット密教は20世紀の今なお、昔からの呪術的な密教法具による鬼神・悪霊退散の呪法が続けられ、細密マンダラの瞑想法による超能力の開発や治病・健康長寿のための薬草薬石療法が行われています。もちろん、大自然の天災から身を守るため、ラマ僧たちによる特別な祈祷や呪法も行われてはいますが、このようなチベット密教の秘儀の数多くは近代科学が進んだ西欧人から見ると、単に神秘的で呪術的な要素の強い、まことに非科学的な古い宗教のひとつだ、と思われてきたのです。

●チベット密教の歴史をたどってみると、古くは紀元前の時代、チベットではボン教(自然界の精霊崇拝)が信仰され、薬草本草や鉱石薬調合法の医学体系がすでに確立されていました。その後4世紀になって、インドから仏教(大乗仏教)やヨガ密教が伝えられると、やがてインド仏教を主体として、ヒンズー教やゾロアスター教・バラモン教などの一部を取り入れながら、6世紀頃に独特なチベット密教が成立したと言われています。

●そして7世紀頃、チベット密教は中国に伝えられ、9世紀には日本の空海が中国に渡って、その当時、唐の都に住んでいたラマ寺院の高僧・恵果よりチベット密教の奥義を授けられました。空海は、両界マンダラや密教経典・法具などを日本に持ち帰りましたが、その後も多くの僧侶たちによって法具の利用法が伝授され、もっぱら三密加持祈祷や護摩供養に利用、実践された結果、驚くべき効用があったそうです。しかし、残念ながら密教法具の利用法は、特定の僧侶や修験道士のみに伝授され、長い間、秘密のベールに隠されたまま一般の人々に公開されることなく、今日にいたっているのです。

●ところが1980年代になって、チベット密教がヨーロッパにおいてにわかに新しい脚光を集めることになったのです。それまでも欧米においてインドのヨガ密教や日本の座禅が東洋の神秘主義としてもてはやされていましたが、特にチベット密教が注目されだしたのは、チベットのダライ・ラマ法王がノーベル平和賞を授与されたことが、ひとつの転機だったように思われます。最初にヨーロッパの人々が注目したのは、チベットの細密マンダラでした。それは、単なる仏教絵画や精神的なよりどころとしてのものではなく、マンダラを目前にして瞑想を行う事によって、人間誰もが本来もっている潜在能力や超能力を開発する最高の方法であることが、次々と明らかになったからです。たとえばこのマンダラ瞑想法により、ノイローゼの人々の回復が驚くほど早まったり、コンピュータ技師や設計士、脳外科医、デザイナーなどの精神的な疲労回復が速やかになり、しかもアイデアがどんどんわきだして、仕事の能力が高まることが分かったのです。

●そしてまた、中国の気功法が、日本だけでなく世界的なブームとなりましたが、実はつい最近になって、チベット密教のマンダラや法具を、気功法のエネルギーを集中コントロールするための道具や手段として利用したところ、驚くほど効果があることが中国気功師たちの実践によって証明されたのです。その利用法はあとで詳しく紹介しますが、たとえば金剛杵ヴァジュラや独鈷剣フルプを両手に軽くもっただけで、気のエネルギーが高まり、気の流れもすみやかになることが明らかにされました。しかもこの密教法具は、中国気功法ばかりでなく、ヨガ密教の瞑想法やチャクラ開発、太極拳、合気道、ヒーリング、鍼治療、指圧療法などにも、素晴しい効果があることが、次々と判明しているのです。

●さて、中国気功法は紀元前時代から始まった古い秘儀のひとつですが、最初は人間の健康回復や病気治療のために利用されていました。やがて気功法の研究が進むにつれて、気功の目標は、小宇宙としての人間が元来もっている潜在能力を開発することによって、人間の生命力をより高め、大自然界や大宇宙が放つ気のエネルギーと人間自体が持っている内気との交流をはかるためのシステムだと考えられるようになりました。つまり、人間と大自然との一体化こそが、気功法の目的なのです。

●ところがチベット密教の奥義もまた、それが単なる仏教浄土界の仏陀に対して祈りをささげるだけではなく、法具やマンダラを通して、人間みずからが大自然界の天空や大地との心の交流をはかり、天地自然の理を悟って、人間と自然界・大宇宙との一体化を目指すということなのです。つまり、古い中国の気功法と千数百年の歴史をもつチベット密教は、共通性を秘めながら、いま新しい花をひらこうとしているのです。

●前置きが長くなりましたが、それでは今回、チベット密教の法具について、誰にでも簡単にできる利用法や効果について、分かりやすく解説してみましょう。

★密教法具を利用する前に注意すること

1. まず最初に、密教法具を使う前には、必ず手と口を水でよく清めてから行うこと。これは、心身 からできるだけ雑念をはらって、清らかな気のエネルギーを集めやすくするための心構えが必要だからです。

2. 手元に届いた密教法具について---金剛杵ヴァジュラ・独鈷剣フルプ・カツマなどは、いずれもチベット製の法具ですから、個々において多少のサイズの違いがあります。なかには古いものもありますが、前に使っていたラマ僧たちの悪い因縁がとりついている心配はありません。密教法具それ自体からつねに邪気・悪霊を浄化する清らかな気のエネルギーが放出されているからです。

3. 密教法具の金剛杵などの中心棒が、中央部分から少し離れているものもありますが、それは気のエネルギーやパワーの集中力にあまり大差はありません。大切なことは、金剛杵などの両端で突起部分がしっかりと結合しているかどうかです。使っているうちにその結合部分が剥離した場合は、パワーが弱まりますので、ハンダなどで修理すればよいでしょう。
また、日本製の金剛杵は、突起部分がひとつに結合しない形となっていますが、この違いによってチベット製の金剛杵の方が、数倍の威力を発揮します。

4. 法具を利用するにあたって、必ず両手を組んだ中央に持ち、身体の中心線に位置するようにして下さい。そうしないと、左右の気のエネルギーのバランスが崩れてしまうからです。また、法具を両手に持つと、人それぞれに個人差があって、気を体感する右手と左手にも強弱感がありますがそれは何度か繰り返すことによって、だんだん左右のバランスがとれてきます。

5. 最初に法具を使ってみて、はじめから気のエネルギーを強烈に感じたり、手にシビレがくることもあります。また、ほとんど感じないほど弱い人もあり、個人差は大きいと思われます。強烈に体感する人は、はじめは時間を短くして、10秒〜30秒位にとどめます。

★密教法具による中国気功法の利用法

●密教法具を使っての気のエネルギーを集めるには数多くの方法がありますが、誰でもできる方法に 、4つのポーズがあります。まず最初に、自然にあぐらをかくか椅子にゆったりと座って全身をリラックスさせます。次に金剛杵ヴァジュラを両手の五本の指で軽く包むようにすると、左右いずれかの手に温気(プラスの気)が体感できます。反対の手には、冷気(マイナスの気)が感じられます。 このときヴァジュラの位置は、へその下の下丹田に両手で持ちます。(A図) その時の体調によっては、両手にあたたかいプラスの気が流れることもあります。腹式呼吸を繰り返して行くと、やがて 下腹部よりだんだん熱気を感じるようになり、気の流れは両手の甲の外側を通って、胸の部分の中丹田へと達します。さらに自分の意識を上の方に導いていくと、気の流れは頭部の上丹田に達し、頭部 に涼しい冷気のようなものを感じるようになります。気の流れが完全に上丹田に達した証拠です。  また、下丹田からの気の流れを両足の方へ通したいときは、いったん下丹田に集中した気のエネルギーを会陰穴(肛門の近く)に下ろし、それから両足の先へと意識を運んでいき、足の指先まで流します。これを行っていると会陰のチャクラが開くことによって全身が非常に温かくなりますので、その効果がすぐに分かります。しかしこのような気の流れを全身に通すことは、最初の一回ではできません。一ヵ月から三か月ぐらいかかって完成すれば上出来といえましょう。

●二番目のポーズとしては、B図のように、ヴァジュラを両手を組み合わせた中央に置いて、自然にあぐらをかくか椅子に座ります。この手の組み方は右手と左手どちらを外側にしても内側にしてもいいですが、左右の位置を組み替えて、気の流れの微妙な違いを見つけてみてください。

●次の三番目のポーズでは、C図のように、自然にあぐらをかくか椅子に座って、阿弥陀如来の法界定印の形に両手を組み合わせます。両手の親指をピラミッド型にするところに注意してください。 これを下丹田の部分に位置させながら腹式呼吸を繰り返していますと、強いプラスの気がどんどん集まって、あつい熱気が下丹田に感じられます。強い気が集中しますから、このポーズは中級者以上に勧めます。中丹田や上丹田、両足への気の流れも強いので、各部分のチャクラも開きやすい状態になるようです。

●四番目のポーズは、ヨガのシャバアーサナと同じもので、寝床の中で仰向けに寝て行うことができます。老人や病気の人にも行えるので、とても楽なポーズです。準備が整ったら、下丹田の位置にA図かB図のようにヴァジュラを持ちます。そして静かに、ひとつ、ふたつと数を唱えながら、鼻から息を吐く事を続けます。一分間に4回くらいがよいでしょう。これを5分〜15分続けると、やがて下丹田や両手に気の流れを感じます。

●九鈷杵のヴァジュラを用いるときも、五鈷杵と同じやり方なのですが、非常に細やかな気の流れを 感じます。また、全身のすみずみまで浸透性の高い気が流れこみ、微妙なコントロールもできるようになりますが、これは上級者が利用するとよいでしょう。
また、金剛杵ヴァジュラの大小の違いは、大きければそれだけ気のエネルギーが強くパワーは強烈なものとなります。

●独鈷剣やカツマの利用法については、今回は詳しく紹介できませんでしたが、独鈷剣の特徴は、剣先から強烈なビーム状の気が放射されますので、ヒーリング治療に適しています。



  ★密教法具の気功法利用による効果

●チベット密教法具を使っ気功法を行った場合、一体どのような効果が現われのでしょうか。気功師 によるこれまでの実験データにも明らかなように、ひとつのコースを非常に短期間で完成できるようになります。三か月間のコースであれば、法具を使った場合、一ヵ月くらいで完成させることができるのです。初級から上級までの上達スピードも速まります。

●また、法具を利用した場合、初心者でも気を感じやすくなり、たやすく気功法に慣れることができます。

●気のエネルギーの強弱や集中コントロールが自由にできるようになると、非常に困難とされている 小周天や大周天、クンダリーニ覚醒までの到達が可能になります。

・気功法の上級コースに進んだ人は、小周天などができるようになり、全身のチャクラを開発できれば、ハンドパワーが発生しはじめ、他者の病気治療ができるようになります。
 ・ここに紹介した密教修法の応用術は、北九州市で真言密教の修行と気功法を長い間実践してきた 宮下正さんの協力によるものです。 (以上チベット密教研究会会長・佐藤有文)


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